2023-07

二〇三八年から来た兵士

流れついたガラス

この物語の主人公を、仮に少年Tと呼ぶことにする。大学生ではあったが未成年なのだから、少年と言ってもおかしくはない。 少年は、神戸のとある大学の一年生だった。 彼は昼下がりの教室で、懸命にガリ版を切っている。鉄筆をやすり板に押しつけながら、一...
二〇三八年から来た兵士

ぼくは毎日ネットから記事を集める。 丸ごとリツイート、シェア、コピーしたりはしない。中身を要約し、他の記事との関連付けを明らかにして、新たな読み物を創る。独自ドメインを取ったホームページで公開する。わずかな広告はあるものの、基本的に記事は自...
機械の精神分析医

マカオ

「君なあ、悪いけど、明日から出張してくれへんか」 帰り支度をしていた堂林恭甫どうばやしきょうすけは、手を止めずに答えた。「……急ですね、東京ですか」 ただ、相手は係長で堂林の上司なのだから、命令拒否はできない。「ちゃうちゃう、まかおやまかお...
機械の精神分析医

機械か人か

ゼロ分が経過する。 数百メートル先の建物に着弾する。猛烈な煙が吹きあがり、遅れて轟音が狭い街路に響き渡る。空は蒼く雲一つない。低空を横切る無人機の機影もくっきりと見える。瓦礫の散乱する道路を、目標に向けて前に進む。市街地だ。無人ではない。着...
お知らせ

自選短編の紹介を始めました

これまで、岡本俊弥がSmall Bear Press名義でPOD、kindle出版してきた6冊から、代表的な作品を紹介しています。各著書から2作づつ、毎週1作のペースで公開します。どれも短編クラスの長さがあるため、読むのにちょっと時間がかか...